2007年07月08日

達人の視点 #6

第6回は英文学者であり東京外国語大学名誉教授の河野一郎さんです。
誤訳を防ぐ一番有効な手段は、ともかくも辞書を引いてみること。最近の辞書はきわめてよくできているし、まさかと思うような表現もきちんとひろって収録しているので、誤訳の大半は翻訳者の怠慢と言ってよい。
河野一郎『誤訳をしないための翻訳英和辞典』DHC

辞書をこまめに引いて調べるという行為は基本的なことです。しかし未知語は調べても、平易な語句を引く手間を惜しみがちです。河野氏の著書から1つ例をあげますと、"May and December"。May(5月)December(12月)を組み合わせて使えて場、May and December marriage(年の差婚)のようになるのです。若い女性と年取った男性との結婚のことを指すのだそうです。Mayは人生の春、Decemberは人生の冬を、それぞれ比喩として使っているわけですね。こうした平易な語句にこそ注意を払わなければいけません。翻訳家の方々でも誤訳をするくらいなのですから、素人であればなおさらこまめに辞書を引かなければならない。それも何冊もの辞書を引き比べるくらいでないといけないと思います。もちろん自戒を込めてこれを書いています。手元にある辞書で調べたところ、"May and December"が載っていたのは『英辞郎第2版(アルク)』だけでした。コーパスでひっかからない語句は最新の辞書からはじかれてしまうようですね。なかなか味わいのある表現なのに…。
posted by cosa at 02:48| Comment(0) | 達人の視点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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