2009年11月18日

could use

外国人の書いた英文で意味をとれない箇所があり、その場で説明を求めたのですが、納得のいかないまま帰宅しました。辞書で調べてみると以下のような記述を見つけました。この用法を見るのは初めてです。
could [can] use A A(飲食物など)がほしい;A(行為など)が必要とする---I could use a glass of beer. ビールが1杯飲みたいんだがなあ/This house could use some paint. この家はもうペンキを塗りかえなくちゃ。
『アンカーコズミカ英和辞典』学研
ただし、この用法は<インフォーマル>で、くだけた日常語なのだそうです。日々勉強なり。
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2008年08月03日

「It=There」説

"It is no use crying over spilt milk.(覆水盆に返らず)"という有名なことわざがあります。この主語(It)の働きについて、独自の文法的解釈を試みたいと思います。

「It=形式主語」説

形式主語(it)は、主に後続する「不定詞句」または「that節」を指します。それぞれを例文で見てみましょう。
(1) It is not easy to learn Egnlish.〔行為〕
(2) Is it true that he is ill?〔事実〕

「It〜to…」と「It〜that…」の使い分けは、it isに続く語の意味によって決まります。「ある行為をすること」を表す場合はit〜to...の構文を、「〜という事実」を表す場合にはIt〜that...の構文をそれぞれ採用します。例えば、(1)の「英語を学ぶこと〔行為〕」はeasy(簡単な)やhard(難しい)で形容するのに対して、(2)の「彼が病気であること〔事実〕」の場合、true(本当の)やclear(明白な)で形容します。つまり表現したい内容(行為か事実か)によって、不定詞かthat節かが定まるだけでなく、ともに使用される形容詞もある程度制限がつくことになります。

形式主語[仮主語]のItは「to不定詞」や「that節」のほかにも、後続する「名詞」「動名詞」「what等の疑問詞で始まる語句」を指すことができます。今回取り上げたことわざ(It is no use crying over spilt milk.)中の主語Itは、文法書では、後続する動名詞句[crying over spilt milk]を指す形式主語として説明されています。

(1)がもともと不定詞主語の英文を言いかえた文と考えれば、動名詞主語の英文を形式主語Itでの言いかえも同様に可能だと考えられますね。

*(1) [To learn English] is not easy.
It is not easy [to learn English].

(3) [Learning English] is not easy.
It is not easy [learning English].


以上が英文法書等に書かれている一般論です。


「It=There」説

It is no use crying over spilt milk.

このItはThereの機能を果たしているのではないかと考えています。そう考える根拠は以下の3点。

1. 補語部分が「名詞」。easyやclearといった形容詞ではなく、no useという名詞が補語に使われている点に注目です。決まった言い回しだからと片づけて仕舞えばそれまでですが、not usefulとしないのは不思議だと思いませんか?(※文法書ではno useの前にofが省略されており、of no useが形容詞的に働いていると解釈しています)

2. 英和辞典では、It is no use doing.の言い換えとして、There is no use (in) doing.を紹介しています。後者の表現を今回のことわざに適用すれば、There is no use (in) crying over spilt milk.となります。

3. 黒人スラングでは、ItがThereの機能を果たすそうです。詳しくは拙稿Itはすごい!をお読みいただければ幸いです。


まとめます。今回取り上げたことわざ"It is no use crying over spilt milk."は、「There is 構文」と構造が似ており、(It+be動詞)+(数量形容詞+名詞)+(場所を表す語句).の関係が成り立っているように感じられます。

さらにここからは私の想像or妄想です。前置詞inは時の経過とともに消滅していった。もとはinが使われており、後続する動詞の形はto不定詞ではなく、動名詞となった。

(It[There] is)+(no use)+(in crying over spilt milk).
【直訳】(こぼした牛乳を嘆くことの中には)(役立つことは1つも)(入っていない)
→こぼした牛乳を嘆いても無駄だ。
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2008年07月22日

glad過去分詞説

「gladは過去分詞由来の形容詞ではないか?」

形容詞には名詞由来のものと動詞由来のものがありますが、動詞の分詞形をもとに形容詞化していったものが多数存在します。interestingとかsurprisedなどが代表例でしょうか。surprisedと同じようにgladは語尾が-dです。もしかして…。ふと浮かんだこの大胆な発想が頭から離れず数日が経ちます。私のこの推論を今日検証してみたいと思います。

gladが元々は過去分詞ではないかと疑うポイントは7つあります。手元にある文法書や辞書を駆使して各ポイントを検証いたします。
1. 語尾がdである
2. ofを補って原因を表す
3. that節で原因を表す
4. to不定詞を用いて原因・理由を表す
5. 主に叙述用法で使用される
6. 感情の形容詞は過去分詞由来が多い
7. 動詞由来である

1. 語尾がdである

過去分詞から形容詞化した語は、当然ながら語尾がdになっています。そういう形容詞は多数ありますが、思いつく限り例を挙げましょう。tired(疲れた)、used(慣れた)、interested(興味を抱いて)、delighted(喜んで)、varied(多様な)、excited(興奮した)、surprised(驚いた)
これだけではありません。佐久間治氏の著書『英文法のカラクリがわかる(研究社)』によれば、現在は完全に形容詞として認知されているdead(死んだ)やafraid(恐れて)、horrid(恐ろしい)は、もともとは分詞だといいます。語尾がdが証拠の1つとなりうるでしょうか?


2. ofを補って原因を表す

まず、gladが前置詞ofをとることができる証拠を示します。ちなみに同じような意味を持つhappyはofをとることができません。
glad(1)[叙述]<人が>うれしく思う〔about, for, of, (ややまれ)at/that節/to do〕…(やや古)[…に]感謝している(of)…I'm glad of the help. 私はその助けに感謝している
『ジーニアス英和辞典第四版』大修館

それではなぜ私がofを問題とするかというと、佐久間氏の著書に次の記述があるのを思い出したからです。
「怖がる」のbe afraid of〜や「恥じる」のbe ashamed of〜はもともと受動態だった。だからafraidもashamedも元は過去分詞である。afraidはともかく、ashamedは形から過去分詞ではないかと疑ったことのある人も多いと思う。ただ、現在形が見あたらないので、捜索をあきらめるしかない。ashamedもafraidも紛れもない過去分詞形で、前者の不定詞ashameも後者の不定詞afrayもともに今は廃語になっている。ではofは何なのかと言うと、現行文法のbyの機能を果たしていた。結果、be+過去分詞+by〜とまったく同じ構造だったことになる。さらに、同様の要素で構成された慣用句にbe fond of〜(〜が大好き)とbe proud of〜(〜に誇りに思っている)もある。ashamed、afraid、fond、proudにはどれも語尾-(e)dがあり、過去分詞の面影をわずかながら残している。
佐久間治『英文法のカラクリがわかる』研究社

さらに文法書にも同様の記述を見つけました。
「恐怖させる」という意味の動詞の受動態は、しばしばofをあとに伴う。
He was terrified of his employer.「彼は自分の雇い主を恐れた」
同様に、be frightened of, be scared ofなども用いられる。古くはbyのかわりにofが用いられたので、これはそのなごりである。
杉山忠一『英文法詳解』学研


ここからはその機能面から、他の過去分詞由来の形容詞との類似性を見出せないか検証していきます。

3. that節で原因を表す

that節がとれることは先程引用したジーニアスの記述で証明されています。surprisedと例文で比較してみましょう。
I'm very surprised that your wife objects.
「あなたの奥様が反対されるとはとても意外です」
I'm glad that her son passed the examination.
「彼女の息子が試験に合格していうれしい」


4. to不定詞を用いて原因・理由を表す

こちらも3.と同じくsurprisedと例文で比べてみましょう。
I was pleasantly surprised to meet my former teacher at the wedding.
「その結婚式で以前教わった先生に会えたのはうれしい驚きでした」
I'm glad to see you.
「ようこそいらっしゃいました;またお会いできてうれしいです」


5. 主に叙述用法で使用される

過去分詞由来の形容詞は限定用法で使われることはごくまれで、叙述用法で使うことがほとんどなのです。gladには限定用法がないわけではありませんが、人に用いることができません。
[限定]<表情・声などが>うれしそうな…(2)人には用いない。a happy[×glad] man
『ジーニアス英和辞典第四版』大修館


6. 感情の形容詞は過去分詞由来が多い

この点に関しても佐久間氏の著書から引用いたします。
古い英語では、感情や身体動作などを自然発生的・自発的なものととらえず、外から働きかけられるものととらえたようだ。だから、こういったことを表現する際は、他動詞として受身や動詞+oneselfの形にすることが多かった。
(中略)
受動態で情緒・感情を表現する構造はたくさんある。「驚く」1つとっても、be surprised、be astonished、be astounded、be amazedなどがあり、「喜ぶ」にはbe delighted、be pleasedなどがある。
佐久間治『英文法のカラクリがわかる』研究社
たしかに、喜びや悲しみなどの感情は外的要因によって引き起こされるものですから、本来は受け身の意味をもった語であるのは必然だと考えます。


7. 動詞由来である

gladと同じような意味を持つhappyは接頭辞と接尾語に分解してみると、[hap(偶然)+形容詞語尾y]という構造になっており、名詞から派生した形容詞であることがわかります。それに対してgladは動詞から派生の形容詞ではないか?動詞由来の形容詞はほとんど分詞から出来ているはず。gladが動詞由来だという証拠を突き止めることができれば一歩前進する。ただこの点は現時点ではわかりません。一応、語源を調べてみました。岡山徹氏の著書『語源でたどる英単語まんだら(小学館)』によると、ghel-「輝く」という古い接頭語からできた言葉だそうです。同書に挙げられている仲間を紹介すると、gold(金)→gild(金メッキする)→guilder([オランダの銀貨]ギルダー)→gall(胆汁)→gleam(きらめき)→glimpse(ちらっと)→glint(きらりと光る)→glimmer(ちらちら光る)→glitz(けばけばしさ)→glisten(ぴかぴか光る)→glare(ぎらっという輝き)→gloss(光沢)→glance(光る鉱石)→glow(白熱)→「光る」から「なめらか」「すべる」へ→glide(すべる)→glad(うれしい)…。結局、語源をたどっても何も立証できていません。


私の「glad過去分詞説」の検証作業は以上になります。ウェブを活用してみました。googleで検索したり、Online Etymology Dictionaryで調べてみましたが、「glad過去分詞説」を裏付ける材料は見つかりませんでした。よって結論は「gladはただの形容詞」ということになりますか、残念ですが。


【番外編】
gladの反意語であるsadはどうなのでしょうか?『アンカーコズミカ英和辞典(学研)』によれば、「満たされた」という意味の古英語からできた語であるようだ。「満たされた」→「威厳のある(人)」→「重々しい」→「見た目が悲しそうな」のように変化したと考えられる、そうです。元の動詞を特定する術がありませんが、「満たされた」という受け身の意味を持っていたことがわかります。sadも過去分詞なのか?

【追記】
形容詞gladから派生したと思われる動詞gladden(喜ばせる)が存在します。その過去形・過去分詞形はgladdened。さらにgladの反意語であるsadにも動詞sadden(悲しませる)があり、同じく規則的に変化し、saddenedとなります。これだけ見るとやはり形容詞としての形(glad/sad)が最初に存在したのかなという気がします。
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2008年05月17日

不定冠詞

英語の学習はふつうアルファベット26文字の音とその書き方(大文字・小文字)から始まります。次は単語の学習になりますが、主に名詞から習い始めます。さらに名詞を英文のなかで使うため、「不定冠詞a/an」の指導に至ります。

不定冠詞を指導する際に、oneとanとの関係を説明することにしています。anという語は元はoneから派生した言葉だからです。また、子供はすでにoneという語を知っているため、a/anの「1つの」という意味の納得を得やすいのです。(さらに後にonly(唯一の)[=one+副詞語尾ly]やany([否定文で]1つも(ない))[=an+形容詞語尾y]を教えるときにも、このoneとanの関係は役立ちます)

a/anの使い分けについて教えた後は、音の連結(リエゾン)について。an apple[アナポゥ]やan egg[アネグ]のことです。英語では複数の単語が連結して音を出すことが多いですから、最初の指導は非常に大切だと思います。日本人が苦手とする聴解(リスニング)力を後々高めていくためにも、リエゾンを意識した英語の読み方を、英語学習の初期段階でしっかりと押さえさせたい。

ところで、このリエゾン(音の連結)に関して、非常に興味深い記述を発見しました。リエゾンが単語の綴りに影響を与えた例について、辞書から引用いたします。
さて、英語のnの音には「ねばっこい」性質があります。この「ねばっこさ」は、nがa, e, i, o, uにはさまれたとき、よくわかります。たとえば、an appleは[アネァプォ]、an ideaは[アナイディア]と発音します。newt(イモリ)という語はもともとはewtでした。ところが、an ewtを何度も言っているうちにa newtになってしまったのです。逆に、a napronは、an apron(エプロン)になってしまいました。
『ヴィスタ英和辞典』三省堂
apron(エプロン)は昔はnapronだったわけで、そうするとnapkin(ナプキン)nappy(おむつ)とのつながり見えてきます。napronもnapkinも、cloth(布)を意味するnappeから作られた語であるというわけです。

話があちこちに飛んでしまいましたが、不定冠詞の指導は、単にaとanの使い分けに留まらず、語源・由来から単語同士のネットワークやリエゾンを含む音声面など、英語という言語のおもしろさや奥深さを伝える格好の材料になると考えています。

【追記】
上記an apron(エプロン)やa newt(イモリ)と同様に、後続する語の一文字目が前にある語の最後部にくっつく現象をmetanalysisとよぶそうですが、この不定冠詞と名詞間での"n"の移動が見られる例をもう一つ見つけました。umpire(審判)はもとはnumpireで、a numpire→an umpireとなったようです。さらにはnickname(ニックネーム)がan icknameからa nicknameへと変わりました。
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2008年01月22日

ofかfromか

「受動態」における学習ポイントの1つに、「by以外の前置詞をとる受動態」というものがあります。I was surprised at the news.(私はその知らせに驚いた)が一例ですが、その際に前置詞を含めて熟語として覚えていかなければなりません。しかし、これを学習する中学3年時点では、前置詞の持つイメージなど持っていませんし、数も多いため、多くの中学生は暗記に大変苦労します。

一般に中学校で指導される熟語の例をご覧下さい。
(1) I was surprised at the accident.(私はその事故に驚いた)

(2) He *is known to everybody in our school.(彼は学校中に知られている)
*米語ではbyが用いられることもあります。

(3) I am interested in soccer.(私はサッカーに興味を持っている)

(4) The mountains were covered with snow.(雪は山々を覆っていた)

(5) Don was pleased with the present.(ドンはそのプレゼントが気に入った)

(6) The hall was filled with people.(ホールは人々でいっぱいだった)

(7) He is satisfied with the results.(彼はその結果に満足している)

(8) This desk is made of wood.(この机は木でできている)

(9) Wine is made from grapes.(ワインはぶどうから作られる)

(10)Milk is made into cheese.(牛乳はチーズになる)


10もあると、中学生はたいてい暗記を嫌がります。前置詞だけでなく熟語としての意味も覚えなくてはいけないわけですから。だからこそ、覚えやすく、忘れにくくする工夫を常々考えます。私は大きく3つに分けて説明しています。

ダジャレ
(1) I was surprised at the accident.(私はその事故に驚いた)
「アッと(at)驚く」と覚えます。私の中学の先生もこう紹介していました。

(2) He is known to everybody in our school.(彼は学校中に知られている)
「知られて(to)いる」と覚えます。強引にダジャレにしちゃいます。

(3) I am very interested in soccer.(私はサッカーにたいへん興味を持っている)
「興味(きょうみ(+ん))(in)がある」と覚えます。(2)にも増して強引に。

WITHグループ
(4) The mountains were covered with snow.(雪は山々を覆っていた)
「by+ヒト、with+モノ」とすればたいてい解決します。正確に言うと、byの後には人間のように意志を持ってその行為をする者が、withの後には意志を持たないモノが続きます。(5)-(7)もこれで説明がつくと思います。

MADEグループ
(8) This desk is made of wood.(この机は木でできている)
(9) Wine is made from grapes.(ワインはぶどうから作られる)
(10)Milk is made into cheese.(牛乳はチーズになる)
「(材料)にはofが、(原料)にはfromが用いられる」と説明されますが、私の指導経験上、この説明が逆に混乱を招くことが多いです。また参考書には「fromには加工による変化が大きいもの、ofには変化の小さいもの」との記述も見られますが、時間が経ってしまえば、生徒はどの場合にofかfromかを思い出せなくなってしまいます。

生徒にはシンプルに考えて欲しいので、次の覚え方を伝授します。「of+(食べられないもの:wood, glass, etc)、from+(食べられるもの:milk, grapes, etc)」。実際にはこれほど単純に割り切れません。しかし第一段階はシンプルな方が上手くいきます。その後はこの法則(?)より漏れる例を挙げて、徐々に前置詞の感覚(ofは[所属・所有]、fromは[起点]、intoは[変化・結果])を養っていく。この手順ですと定着がより早く、強固になるように思います。


最近の英語指導が「音読」に頼りがちであるように感じます。何でも「音読」に求めるのは少し乱暴かと。意味不明な英文の音読は生徒には苦痛でしょう。繰り返しによる例文暗唱の効用を否定する気はさらさらありませんが、私は「音読」はその英文の意味や理屈がわかってこそ、その効果を発揮する学習法であると思います。音読も上手に利用していきたいものです。

なぜここではofなのか、なぜfromではダメなのか。そういう「なぜ」という疑問を大切にして指導にあたっていきたいと思っています。
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2007年12月12日

複数形の妙

英語のことわざにStill waters run deep.(静かな流れは深い)というのがあります。「物静かで口数の少ない人のほうが思慮深い」が一般的な意味です。さて、この英文のwatersはなぜ複数形なのでしょうか?

英和辞典には、[〜s]として「(海・川・湖などの多量の)水、満々たる水;(文)海、川、湖」という語義が紹介されています。つまりStill waters run deep.内のwatersは「川」を表していますから、複数形を使うのはとても自然なことです。

しかしこの説明ではどこか味気ない。複数形の持つ「深み」にもっと迫ってみましょう。『表現のための実践ロイヤル英文法(旺文社)』には実に興味深い説明が書かれており、私の知的好奇心を大いに刺激してくれます。
似たようなものや事柄の繰り返しを強める複数形
The night skies in Montana are beautiful.
(モンタナ州の夜空は美しい)
In Tanzania, the long rains began in March.
(タンザニアの長雨は3月に始まる)

前述の「似たようなものや事柄の繰り返しを強める複数形」の用例中のskeisとrainsは、しばしば自然描写に使われる、いささか文学的な表現である。空間としての「空」は1つなので、the skyとしか言わないのだが、変わりつつある「空模様」の意味も含むskyとなると、これにはやはり複数形がちょうどふさわしい。同様に、物質としての砂を表すだけであれば、不可算名詞としてのsandが十分な表現だが、砂丘の形が変わりつつある「サハラの砂」を表すなら、ネイティブとしてはthe sands of the Saharaと複数形を使いたくなる。

また、人間の考えを、深さや速さも変わっていく川の流れに例えたことわざStill waters run deep.のwaterの複数形の使い方にも、似たような感覚が感じられる。
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2007年07月27日

sinceの用法

中学3年生に現在完了を指導していたら、テキストに次のような問題がありました。
[3] 次の英文の( )に、sinceかforのうち、適語を入れよ。
(3) We have lived in this house ( ) three weeks ago.
この問題の解答には"since"とありました。単なる作問ミスとは思えません。私は問題作成者の英語力不足を疑っています。since...agoは避けるべき表現であることはたいていの英和辞典や文法書に載っているからです。
語法
(1) since...agoの形は避けた方がよいとされる。「彼は3日前から身体の具合が悪い」は He has been sick since three days ago.よりも、He has been sick for three days.とする方がよい。
『コアレックス英和辞典』旺文社
●{since 〜 days[years] ago}のように、sinceとagoを一緒に使うのは避ける。
『表現のための実践ロイヤル英文法』旺文社
彼は3日前から病気です。
× He has been sick since three days ago.
○ He has been sick for three days.
「…前から」を表す「since A{期間} ago」の形は好ましくないとされる
『ウィズダム英和辞典第2版』三省堂
I have known him since two years ago. 2年前から彼を知っている。{◆これは((非標準))なので、I have known him for two years.とするべきだと言う人がいるが、一般に使われている}
『ジーニアス英和辞典第4版』大修館
現実にはsince...agoという形が使われていることは認めなければならないでしょう。しかしだからといって中学生向けの問題として出題するのはいかがかと思います。指導する側がしっかりとした知識や情報を教えていればいいのですが、実際には多くの教師はテキストを疑わないまま指導しているのではないでしょうか?
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2007年07月20日

副詞って何?

副詞ってけっこう難しくありませんか?その難しいわけは、英語学習者が悪いわけではなく、もともとあいまいな品詞であるからなのでした。これは知りませんでした。

英語の品詞の中で、もっともあいまいなのが副詞である。実は、「副詞」とは、「ほかの品詞に分類できない修飾要素」につけた名前である。副詞のもつ意味がさまざまあり、文中での位置もバラバラなのは、もともと不統一なのを1つの名前でまとめて呼んでいる以上、当たり前なのだ。
『総合英語Forest 5th edition』桐原書店


adverb(副詞)の働きは主に「一般動詞・形容詞・別の副詞」を修飾する品詞だと考えていますが、実際には名詞を修飾することもありますし、文全体を修飾することもできます。さらに、Yes, I do.の”Yes”も副詞です。追求していくとけっこう奥が深い。しっかり理解するには、他の品詞をしっかりマスターすることです。さきほど引用したように、「ほかの品詞に分類できあに修飾要素」なわけですから。
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2007年07月09日

Itはすごい!

みなさんはitについてどれくらい知っていますか?辞書を引く前の私は90%をマスターしているつもりでした。しかし辞書で調べた今となっては、その根拠のない自信はもろくも崩れ去っています。itの持つ威力をみなさんにも感じていただければと思います。

itは一般に代名詞としての働きが有名ですが、純粋に名詞の働きがあります。『ジーニアス』の名詞の項における第一義はなんだと思いますか?私には意外な結果というか、まったく初めての意味でした。
(1) 極致;絶品、天下一品のもの[人、物];望ましい[必要な]手腕[能力]:Beer is really it when you are thirsty on summer evenings. 夏の夕方のどが乾いている時はビールが一番だ/ When it comes to entertaining children, she is really it. 子どもをもてなすにかけては、彼女は天下一品だ/ He thinks he is it. 彼は天狗になって[自分を買いかぶって]いる。
『ジーニアス英和辞典第4版』大修館
このitはsomethingに似ていると思いました。That's really something.(それはたいしたものだ)などと使いますよね。はっきりとした物言いを避けているのでしょうね。

またitにはThere is構文のthereと同じ働きがあります。
黒人スラングにはThere's no one there.(そこには誰もいない)の代わりにIt's no one there.がある。これは、形式主語としてitとthereが同質であることを証明するもので、一般辞書にも収録されている。

It's nobody here but me.(ここには私以外には誰もいない) このitを語るとき、どうしても思い出してしまうのが、かつてのテレビ・シリーズ『スーパーマン』の冒頭で語られる有名なセリフだ。

Look! Up in the sky! Is it a bird? Is it a plane? It's Superman!
このitを「それ」と訳してはいけない。「スーパーマンがいる」である。
佐久間治『英文法のカラクリがわかる』研究社
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2007年07月04日

進行形の特別用法

進行形は「現在行われつつある行為、行動または進行中の出来事を表す」のが基本用法です。さらには「近い未来を表す」のにも用いられます。ここまでは学校が教えてくれます。

でも実際には感情を込めるために進行形を利用するということがあります。例を見てみましょう。
進行形には話し手の感情が含まれることがある。

進行形はその性質上、ある行為や出来事を1つのまとまったものとして、いわば鳥瞰図的に述べる単純現在に比べ、より描写性が強く、感情が込められやすい。そのため、進行形か、適切な文構成やイントネーションとともに用いられると、いっそう強調などの気持がよく表される。
(1) I am telling you the truth. ぼくは本当のことをいっているんだ。
(2) What are you thinking of? おまえは何を考えているんだ。
(3) He is always smoking. 彼はのべつタバコをすっている。
『英文法詳解』学研
進行形の特別用法

(1) 非難・満足・同情などの感情が加わる:He is always grumbling. 彼はいつも不平ばかり言っている/I am not telling you a lie. ほんとうにうそなんか言ってないよ
*snip*
(3) 2人称にもちいて命令を表す:You're coming with me. きみはぼくといっしょに来るのだ/You're not going there alone. 1人でそこへ行ってはいけないよ
『スーパーアンカー英和辞典第3版』学研

これで思い出すのが『THE FISHER KING(フィッシャー・キング)』という映画のなかの台詞です。Parry(パリー)が密かに恋心を抱くLydia(リディア)をどうにかしてディナーに誘おうとします。彼女の大好きな中華料理のお店でダブルデートを仕組もうと必死です。しかしshy(照れ屋)なLydia(リディア)は家に帰りたがります。そこで最後の一押し、進行形の登場です。リディアの煮え切らない返答に業を煮やしたAnne(アン)が「来なくちゃダメでしょ!」と言う場面です。
Jack: We thought we'd get some dinner. Say, anybody up for Chinese?
Anne: Hmm?
Jack: Have you eaten? Would you like to join us?
Lydia: No, thank you. I'd rather go home.
Parry: Me too.
Anne: You have to eat.
Lydia: I'd like to go now.
Anne: It's only dinner. You'll have something to tell your mother the next time she calls. You are coming!
Everyone: Fine.
話は逸れますが、『THE FISHER KING(フィッシャーキング)』は大好きな大好きな映画です。「生きることって素晴らしい」そう思える作品です。Grand Central Stationでのダンスシーンは映画史に残る名場面といえるでしょう。


追記
映画『シュレック』でも命令に相当する進行形が使われていました。
Shrek: I told you, didn't I? You're not coming home with me. I live alone! My swamp! Me! Nobody else. Understand? Nobody.
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2007年07月03日

mayとcan

auxiliary verbs(助動詞)は中学生をうんざりさせてしまう文法単元の1つです。will, can, may, must, shall, shouldといった種類の豊富さに圧倒され、さらには意味や言い換え、過去形・未来形を覚えないといけません。英語嫌いを作る要素満載ですね。中学2年で英語につまずくとしたら、この「助動詞」のせいかもしれません。

中学時代の先生はどのように教えて下さったでしょうか。ありがちなのは「助動詞は動詞を助ける品詞」という説明です。これでは単に日本語の字面をなぞったにすぎません。これで生徒の興味・関心を惹きつけることはできないでしょう。私なら「助動詞は話者の気持ちを表す語」と定義します。"You can do it.(君ならできる)"と信じているのは話者です。ability(能力)が実際にあるかどうかを表現しているわけではないのです。

意味を説明する際に、他の助動詞と比較して教えてくれましたか。たとえばmayとcanですが、通例、may(〜してもよい、〜かもしれない)can(〜できる、〜してもよい)と学習します。"May I help you?"と"Can I help you?"を比べて、mayの方が丁寧であると教わったくらいでしょう。私はもう一歩踏み込んだ比較を行います。「mayは主観的、canは客観的」だと話します。この点について『スーパーアンカー英和辞典』は見事な説明をしています。
【許可】
・You may smoke here. たばこを吸ってもよろしい(話し手の許可)
・You can smoke here. 喫煙可(客観的な許可)
【可能性】
・A friend may betray you. 友人があなたを裏切るかもしれない
・A friend can betray you. 友人だって裏切ることはありうる(一般論)
『スーパーアンカー英和辞典第3版』学研

こうしたささやかな工夫が授業に活気をもたらすと私は信じています。今の英語授業はともすればアクティビティやペアワークといった大がかりな手法に頼りがちです。そういった活動自体の楽しさはあるとしても、英語という言語の奥深さに迫るものではありません。人間の好奇心を刺激するような、言語への興味をひきつけるような、そんな授業が私は好みです。
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2007年06月26日

第4文型

第4文型のSVOOは中学2年で学習する単元です。二つの目的語は中学校では(人)と(もの)、高校では(直接目的語)と(間接目的語)と習います。これらの目的語を入れ替えて、英文を書き換えることがあります。
My uncle gave me his watch.
My uncle gave his watch to me.
これらは『総合英語FOREST第5版(桐原書店)』に掲載された英文ですが、この2文について「本質的な意味は変わらないが、何に重点を置いて言いたいのかで使い分ける」と説明をしています。非常に好感の持てる記述ですね。これについては情報構造のことにも触れて、文法というルールの本質に迫っています。お見事。(ちなみに「情報構造」については「日本国憲法」前文をぜひご参照下さい)話は逸れますが、この『総合英語FOREST』は細部の説明を怠らず、丁寧でしかも平易な言葉で書かれた、すばらしい英文法参考書です。高校生に限らず中学生にも手にして欲しいと思います。

閑話休題。実はいつもSVOOからSVO[to/for]Oへ書き換えが可能とは限りません。雑誌『英語教育』のQuestion Boxから引用します。
18. give a nudge to...と言えるか。
giveは、O1(間接目的語)とO2(直接目的語)をとり、give O1+O2とgive O2 to O1の型がみられます。前者はO1 gets O2(受取)を、後者はO2 goes to O1(移動)を表します。
上の2つの型をとるのは、He gave his sister a comic book./He gave a comic book to his sister.のように、授与された結果、2つの目的語の間にHis sister has a comic book.のような所有関係が生じる場合です。
[中略]
ところが問題として取り上げられたnudgeやpushなど動作名詞の場合、所有者(主語)からの移動が起こらないため、ふつうgive O1+O2の型でのみ用いられます。
『英語教育[July, 2007]』大修館
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2007年06月06日

onとin

street
play on [in] the street 通りで遊ぶ(◆(米)では通例onは[歩道], inは[車道])
『ジーニアス英和辞典第4版』大修館
in the streetとon the street
There is a bakery on[in] the street.はふつうアメリカ英語ならon、イギリス英語ならinを用いる。
『中学総合的研究英語』旺文社
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2007年06月01日

現在分詞か動名詞か

現在進行形[be + doing]は中学1年の3学期に習う学習事項である。このとき-ing形として学習したのは果たして現在分詞か動名詞か?英文法を一通り体系的に学習してこられたみなさんならご存じでしょう。答えは現在分詞。文法書で確認してみますと、説明はあっさりしています。
(1) 現在進行形
be動詞の現在形am, is, areに動詞の-ing形をつけて、現在進行形をつくる。この-ing形は現在分詞とよばれる
『中学総合的研究英語』旺文社
このことを疑ったことがある人は少ないでしょう。私もずっと動名詞ではなく、現在分詞だと考えていました。しかしこの-ing形はもともとは動名詞だったという話です。
今日、進行形と呼ばれる構文[be doing]は、実は、be on + 動名詞から発達したものである。以下のような経過をたどって、動名詞が結果的に現在分詞と認識されるようになった。

be on thinking 「考慮中」のような意味(1)
→be a thinking onが弱化(2)
→be thinking (弱化した) aが消え、beと動名詞が連結する(3)

動名詞の-ing形は当初、純粋な名詞形成語尾(arrivalの-alとかobservationの-tion)だったので、(1)は現代英語ならbe on duty(勤務中)に相当する名詞構文だった。それに対して、(3)では純粋な動詞形として扱われ、現在分詞と認識されるようになった。
『英文法のカラクリがわかる』研究社
著者の佐久間治氏の主張を借りれば、進行形のing形はもとは動名詞で、今は現在分詞と認識されているというのが正解ということになるでしょうか。常識は疑ってかかるものなのかもしれません。
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2007年05月30日

発音ルール破り

-edの発音には[d] [t] [id]の3種類があります。
-edの発音の仕方
(1) 「無声音+ed」のときは[t]:stoppe, wished, laughed, etc
(2) 「有声音+ed」のときは[d]:planned, played, stirred, etc
(3) ただし、[t][d]+edのときは[id];wanted, admitted, ended, etc
『英文法詳解』学研

このようになりますが、もとは過去分詞であるのに今は完全に形容詞として機能している語の中には上記ルールに従わないものもあります。その場合[id]と発音される傾向があります。blessed [id] 神聖な、learned [id] 博学な、 naked [id] 裸の、wicked [id] 邪悪な、 などが例です。とくにlearnedは発音の仕方によって意味が異なってきますので、注意が必要です。
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冠詞の使い分け

a/anとthe。不定冠詞と定冠詞。「ある1つの」と「その」。

これらをうまく使い分ける方法はないものでしょうか。冠詞は外国人である我々日本人には使い分けがたいへん難しい品詞です。冠詞だけの本が何冊も出版されていることがそれを物語っていると思います。

細かい使い分けのルールはここでは扱いません。シンプルに考えましょう。次はある本に載っていた英語による定義です。
a/an = one of many
the = one and only
すごくわかりやすいと思いませんか。私はOxfordやLongmanなどの英英辞典の定義よりも、こちらの方が好みです。
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2007年05月25日

現在完了を語る

いつも小ネタばかりなので、たまには真正面から英文法を語ってみたいと思います。

@haveの正体

現在完了は[have + 過去分詞]で表されます。学生の頃は、このhaveが助動詞であることを知りませんでした。原形をとらない助動詞があるものかと驚きました。すぐに辞書で確かめた覚えがあります。今回はまずこの"have"に迫ってみたいと思います。

現在完了におけるhaveの中核的意味は「(ある状態・状況を)持っている」です。つまりみなさんの知っている一般動詞の意味そのものなのです。代々木ゼミナールの講師である佐藤ヒロシ氏の著書から引用します。
●have + [to do...]→「これからすることを抱え込む」
●have + [p.p...]→「終わった状態を今でも抱え込む」
(中略)
ちなみに、have to doは、かつてhave〜to doと表現し、完了形も、have + p.p. + Oではなく、have + O + p.p. のように表現していました。
昔:I have [some work to do].→現在:I have [to do some work].
昔:I have [the work finished].→現在:We have [finished the work].
『実は知らない英文法の真相』プレイス
佐藤氏の視点が面白いのは、haveを助動詞としてではなく、動詞として解釈している点です。第5文型のhaveとしてです。この方が断然わかりやすい。納得がいきます。しかもhave toも同様の解釈で、haveの正体を暴いてみせるのはすごい。

同様の説明をしているのが和洋女子大学名誉教授の奥津文夫氏です。
I have finsihed my homework.という文は、元はI have my homework finished.(ぼくは現在仕上げられた宿題を持っている)という形であった。この文中のfinishedは「仕上げられた」という意味の形容詞の働きをしている。[have + 過去分詞(finished)]という形は、「finished(すでに仕上げてしまった)という状態を現在もっている」と考えればよい。
『英語の感覚が身につく法』かんき出版
まとめると、haveは、canやmustのような助動詞の仲間というよりは、一般動詞「持っている」だと考えた方がいいということです。


Ahave been toとhave gone to

最初に典型的な次の例文をご覧下さい。
(1) I have been to Saipan.
(私はサイパンに行ったことがある。)

(2) I have just been to Tokyo Station to see him off.
(私は彼を見送りに東京駅に行ってきたところだ。)

(3) He has gone to China.
(彼は中国へ行ってしまった。)
(1)〜(3)の意味や用法の違いについて、私はbeenは往復、goneは片道と教えます。(1)は[日本→サイパン→日本]という動きを経験しています。(2)は[自宅→東京駅→自宅]という動作の完了を表しています。beenはブーメランのように行って戻ってくる動きを表しています。こうすれば(1)と(2)で同じhave been toが使われる理由がわかりますね。

それに対して(3)の[日本→中国]は片道旅行です。日本には戻らず中国に住みついたのかもしれません。goneはボールのように、投げたら最後、絶対に戻ってきません。

(3)のhave gone toの意味を確実にものにするためにもう一つお話しします。このgoneは動作(行った)としてではなく、状態(いない)と捉えるべきです。そうすると次のような解釈が成り立ちます。

・He has gone to China.彼は(ここには)いない→中国へ行ってしまった

・He is gone.彼は(この世には)いない→死んだ

ここまでhave been toとhave gone toの違いを強調してきましたが、最後にオチをつけたいと思います。

ご存じの方も多いでしょうが、米語ではhave gone toは「〜へ行ったことがある」と経験を表すときに用いることができます。
have gone toは、経験を表すのには用いない、と従来の文法ではやかましくいわれていたが、米語では、これを経験の意味に用いた例もしばしば見られる。
『英文法詳解』学研
have been to O
…へ行ったことがある;I have been to Saipan. サイパン島へ行ったことがあります(◆(米略式)ではhave gone toともいう)
『ジーニアス英和辞典第4版』大修館
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2007年05月24日

better, bestの原級

その昔、better, bestには原級がなかったのだそうです。現代ではgoodまたはwellの比較級および最上級として有名なbetter, bestですが、のちにgoodを原級として代用するようになったのです。どうりで形が異なるわけですね。goの過去形wentも別の語でした(くわしくは不規則変化をご覧下さい)が、やはり形には意味があるんだなあとつくづく思います。
better, bestには当初原級が存在せず、後に別の語であったgoodが両者の原級として代用されるようになった。この現象を補充法と呼ぶ。ただ、一部にはbetter, bestの原級はbootであるとする説もある。

boot(古) 利益(profit). (次の成句で) to boot なおその上、おまけに(as well)
『ウィズダム英和辞典第2版』三省堂

ところで、betterには次の有名な使い方があります。

・I like spring better than summer. 夏よりも春が好きだ。

この場合、betterの原級は何だかご存じでしょうか。goodでもwellでもありませんよ。正解はvery muchなんです。ぜひ英和辞典等でお確かめ下さい。
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2007年05月17日

mustって過去形?

助動詞は一般にcan, will, must, may, shall, shouldがあります。言い換えとして、be able to(=can), be going to(=will), have to(=must)がありますが、厳密には助動詞ではありません。助動詞には話者の意志や気持ちが含まれます。それに対して同意表現の方は客観的な事実を表します。mustとhave toの違いを見てみましょう。
mustには、話し手がその身分・地位などによって個人的に人に何かを強制する意味が伴うことがある。いっぽう、have toにはその含みはなく、規則・協定・第三者の意志など、話し手とは無関係の事情によって「〜しなければならない」という意味が裏に含まれる。したがって、個人色のない強制である点が好まれる場合がある。実際には、しかし、文によってmustとhave toのどちらを使ってもよい場合があることも確かであり、この2つの間の差異を感じない英米人もあるという。
『英文法詳解』学研
また、助動詞の学習ではそれぞれ過去形を習います。(一応断っておきますが、助動詞は過去形であっても「過去時制」を表しているとは限りません。)中学校と高校で、can - could, will - would, may - might, shall - shouldを習ってきたはずです。must自体の過去形は存在せず、「〜しなければならなかった」を表す場合はhad toを用いるように指導を受けたことでしょう。でもこれっておかしいと思いませんでしたか。mustだけが特別なのでしょうか。

実はmustが過去形なのです。現代では消失してしまったmotanの過去形だったのです。Online Etymology Dictionaryには"pt of motan"と記述されています。これはpast tense of motan(motanの過去形)という意味です。
must (v.)
O.E. moste, pt. of motan "have to, be able to," from P.Gmc. *motanan "to fix, allot, appoint, to have room, to be able" (cf. O.Fris. mota, M.L.G. moten, Du. moeten, Ger. m壮sen "to be obliged to," Goth. gamotan "to have room to, to be able to"), from PIE base *med- "to measure." Used as present tense from c.1300, from the custom of using past subjunctive as a moderate or polite form of the present. The noun meaning "something that has to be seen or experienced" is from 1892.

そういうわけで、mustは「過去形の存在しない例外」ではありません。過去形のない助動詞は存在しないということになります。現代で使われなくなった語も含めてれば、すべての助動詞に過去形がちゃんとあるというわけです。
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2007年05月14日

解けない謎 That that is...

映画『アルジャノーンに花束を』に出てくる次の英語をちゃんと解釈出来る方いらっしゃいますか。主人公のCharlieが黒板に単語の羅列を書き、それを先生のMrs. Kinnianに句読点をつけてほしいと頼みます。そこで、以下のように句読点をつけるわけですが、字幕ではよくわかりませんでした。なんとか文法的に理解しておきたくて…。ずっと謎が解けないまま今に至っています。
That That is, is, that that is not, is not. -- Is that it? -- It is.

現時点での私の英語力での分析結果が以下になります。あってますかねえ?
@That "AThat is", is, Bthat C"that is not," is not.
あの"That is"は"That is not"ではないということです。
DIs that it?
ーそれだけ?
It is
ーそうよ。

@That 指示形容詞(あの〜)
AThat is (to say) 慣用句(つまり、いわゆる)
Bthat 接続詞(〜だという)
Cthat is not Aの否定形
DIs that it? 慣用表現(それだけですか?)
ちなみに原書"Flowers for Algernon"は未読です。


【追記】
ウィキペディアにこの謎に対する解答が詳しく書かれているページを発見。句読法の説明としてよく用いられる例だそうで、解釈は次のようになります。
That that is, is. That that is not, is not. Is that it? It is.
(存在するものは、在る。存在しないものは、在らず。あれはそれか?それである。)
私の解釈は的はずれだったわけですが、それでも解答を得られてようやくすっきりしました。
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2007年05月12日

前置詞ofの正体(上)

前置詞は英語では非常に重要度が高い品詞です。なぜなら、英語でもっと多く使われる品詞だからです。
英語でもっとも多く使われる語は何だと思いますか。
1位はthe、2位はbe動詞だそうです。では3位以下はどうでしょうか。ある統計によると次のようになっています。
3位 - of、6位 - in、11位 - to、14位 - for、17位 - with、18位 - on、24位 - by、25位 - at、28位 - from...注)British National Corpusによる
ごらんのように、おもな前置詞は30位以内にすべて入っています。
『前置詞がわかれば英語がわかる』The Japan Times

これほど重要な前置詞の中でも、最もよく使われながら中・高生を悩ませるのが"of"です。教師のみなさん、ofを単に「〜の」として簡単に片づけていませんか?今回は成り立ちから使い方までこのofに迫ってみます。

前置詞ofは[オブ]という読み方をされるのが普通ですが、「もちろん」の意味のof courseでは[オフ]と読まれますよね。疑問に思ったことはありませんか。これはofには弱系と強系の2種が存在することが関係しています。そしてofとoffとは「二重語(doublet)」であり、ofが強系、offが弱系なのです。ちなみに「二重語」とは、共通の語源を持ちつつもスペリングが異なり、別の語として機能し、存在している二つの語のことです。

off:「分離」概念表示語(これをofの強系という)
(1) She fell off her horse. 彼女は馬から分離して落ちた
of:「所有・部分」概念表示語(これをofの弱系という)
(2) This is a purse of Mary. これはメアリーが所有しているハンドバッグだ
『英語教師のための効果的語彙指導法』英宝社

(下)につづく
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2007年05月04日

不規則変化

英語には不規則変化動詞というものがある。一般的には中学2年生で「過去形」を、中学3年生になって「過去分詞形」をたくさん覚えさせられる。あまりにたくさんあるので、中学生は暗記を嫌がる。そこで指導側の工夫が必要不可欠で、腕の見せ所である。

みなさんはどのように覚えてきましたか。またあなたが教師だったらどのように指導されていますか。生徒を惹きつける楽しい方法があったらぜひお聴かせ願いたい。とても興味があります。

私が過去分詞を指導する方法をお話しします。最初に断っておきますが、何をどういう順序で話すか、どの例を用いるか、などの指導技術については一切触れません。それは個々人の技量や生徒のレベルによって変化するものだからです。

私はよく教科書や参考書等の巻末についている「ABB型」や「ABC型」などの分類したタイプの変化表を活用しますが、たいていは以下のように分類してあるのではないでしょうか。ご面倒でも、ぜひお手元に参考書や英和辞書をご用意して、続く説明を読み進めてください。
●AAA型
・cut - cut - cut
・hit - hit - hit
・read [ri:d] - read [red]- read [red]

●ABB型
・buy - bought - bought
・send - sent - sent
・find - found - found
・win - won - won

●ABC型
・be - was/were - been
・go - went - gone
・know - knew - known
・speak - spoke - spoken
・sing - sang - sung

●ABA型
・come - came - come
・run - ran - run

大雑把にいうと、ABB型が不規則変化動詞のおよそ50%を占めています。さらにABC型が30%、AAA型が12%、ABA型が8%といった具合でしょう。乱暴な統計ですが、だいたいみなさんの感覚と一致すると思います。

そこでABB型に目をやると、過去形が<---t><---d><---n>で終わると、過去分詞形も<---t><---d><---n>で終わることがわかると思います。すると、AAA型も同様に語尾が、<---t><---d>であることに気づきます(これでなぜreadの過去形と過去分詞形の発音が一致するのか説明がつきます)。この結果、ABB型とAAA型を合わせて62%の過去分詞は、新たに暗記する必要がないことになります。便利でしょう。過去形をきちんと覚えてさえいれば、その語尾<---t><---d><---n>に注意してやればいいからです。もっといえば、規則変化動詞さえもこの分類に含まれます。おもしろいですね。
●ABB型
・buy - bought - bought
・send - sent - sent
・find - found - found
・win -won - won

●AAA型
・cut - cut - cut
・hit - hit - hit
・read [ri:d] - read [red]- read [red]

●規則変化
・play - played - played


次にABC型にメスを入れます。とにかくバラバラのものを集めたかのようなこの分類。しかしよくみると、いくつもの規則が見えてきます。ABC型はさらに次のように分類することができます。
●ABA(e)n型
be - was/were - been
know - knew - known

●ABBn型
・speak - spoke - spoken

●iau型
・sing - sang - sung

この3つの分類については説明不要ですね。見て頂ければわかると思います。ここまでの分類と法則で、過去分詞形の約90%が片づいたも同然です。これ以外は例外として丸暗記したとしてもたいした苦労ではないでしょう。

しかし私はあと一手間かけます。先ほど挙げたABC型から1つだけ外れてしまいました。go - went - goneです。これを説明するには、wentの正体に迫る必要があります。学習辞典以上なら"wend”という動詞が掲載されています。手元にある英和辞典にはこうあります。
wend
(wend・ed,{古}went) [〜 one's way で]{文}行く, たどる.
【OE=まわる; go の過去形はこの古い過去形 went から】
「英和中辞典第7版」研究社

現代ではgoの過去形である"went"は、昔は別の動詞だったことがわかります。その昔はwend - went - wentでABB型だったわけです。そして、これは私の勝手な推測ですが、go - gone - goneだったのではないかと。これはABB型のwin - won - wonと同タイプだったと想像しています。そうだとすれば、規則性の欠片もない、純粋にバラバラのABC型は存在しないのではないでしょうか。えっ「doはどうなんだ」ですって?do - did - didとdo - done - doneの2タイプが混在していた時代があったのではないかと。。。どなたか詳細を知ってらっしゃる方、真実を教えて下さい。

追記1
shineはABB型の変化をして、shine - shone - shoneとなります。goもやはり同タイプ?

追記2
Online Etymology Dictionaryで調べたところ、goの過去形は起源は不明だが、eodeであった。それが1400年代にはwentに置き換えられた。しかしながらNorthern EnglandやIrelandではeodeの代わりgaedに置き換えられる傾向にあった、のだそうだ。ちょっとがっかり。
go
O.E. gan "to go," from W.Gmc. *gai-/*g{- (cf. O.Fris. gan, M.Du. gaen, Ger. gehen), from PIE *ghei-, perhaps connected to Skt. jihite "goes away," Gk. kikhano "I reach, meet with," but there is not general agreement on cognates. The O.E. past tense was eode, of uncertain origin but evidently once a different word (perhaps connected to Goth. iddja); it was replaced 1400s by went, formerly past tense of wenden "to direct one's way" (see wend). In northern England and Scotland, however, eode tended to be replaced by gaed, a construction based on go. In modern Eng., only be and go take their past tenses from entirely different verbs. The word in its various forms and combinations takes up 45 columns of close print in the O.E.D. The noun sense of "a try or turn at something" is from 1825; meaning "something that goes, a success" is from 1876. Verbal meaning "say" emerged 1960s in teen slang. Going to "be about to" is from 1482. Go for broke is from 1951, Amer.Eng. colloquial; go down on "perform oral sex on" is from 1916. That goes without saying (1878) translates Fr. cela va sans dire. Phrase on the go "in constant motion" is from 1843; go-between is 1598; go-getter is 1910, Amer.Eng., but goer, with essentially the same meaning, is c.1378. Goner "something dead or about to die" is first recorded 1850.

追記3
go-went-goneのルーツは?
goの活用は古い英語ではgo-goed-goneに近い形であった。15世紀ごろからwend(ゆっくり進む)の過去形wentがgoedに取って代わりgo-went-goneの活用ができあがった
『ウィズダム英和辞典第2版』三省堂
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2007年05月03日

「日本国憲法」前文

私たち日本人は中学校で外国語として「英語」の学習をスタートさせます。最初は楽しくはじまる英語も、文法の学習ばかり、またはALTと遊んでいるだけ。そして中学・高校の6年間で身につけた英語力を活す機会は皆無に近い。その結果、英語が単に学校教育のなかの消化すべき単位・科目になってしまっているとしたら、それは実にもったいない話です。

しかし、英語に限らず外国語を学習する意義はとてつもなく大きい、と私は確信しています。それは日本あるいは日本語をより深く理解するために必要不可欠だからです。海外生活や留学の経験がある方には理解していただけると思いますが、日本を離れることで日本のよさを実感することがあります。四季、食文化、伝統芸能、テクノロジー、交通網など挙げればいくつもの日本のよいところが見つかります。外国と日本を相対化したことによって、より深くわかる。これは言語でも同じ。外国語を学習することで、母国語への認識を新たにします。そして深く理解することが可能になるのです。

さて前置きがずいぶんと長くなってしまいました。せっかく学んできた英語を少しでも生かしましょうね。そこで今回は日本という国の最高の法規である憲法を英語で理解していこうと思うのです。有名な事実ではありますが、日本国憲法そのものはもとは英文で書かれたものです。だからこそ憲法に込められた崇高な精神を正確に受け止めるのは、英語が最適だと考えます。

それでは「日本国憲法」の前文を見てみましょう。
We, the Japanese people, acting throuth our duly elected representativesin the National Diet, determined that we shall secure for ourselves and our posterity the fruits of peaceful cooperation with all nations and the blessings of liberty throughout this land, and resolved that never again shall we be visited with the horrors of war through the action of government, do proclaim that sovereign power resides with the people and do firmly establish this Constitution. Government is a sacred trust of the people, the authority for which is derived from the people, the powers of which are exercised by the representatives of the people, and the benefits of which are enjoyed by the people. This is a universal principle of mankind upon which this Constitution is founded. We reject and revoke all constitutions, laws, ordinances, and rescripts in conflict herewith.

We, the Japanese people, desire peace for all time and are deeply conscious of the high ideals controlling human relationship, and we have determined to preserve our security and existence, trusting in the justice and faith of the peace-loving peoples of the world. We desire to occupy an honored place in international society striving for the preservation of peace, and the banishment of tyranny and slavery, oppression and intolerance for all time from the earth. We recognize that all peoples of the world have the right to live in peace, free from fear and want.

We believe that no nation is responsible to itself alone, but that laws of political morality are universal;and that obedience to such laws is incumbent upon all nations who would sustain their own sovereignty and justify their sovereign relationship with other nations.

We, the Japanese people, pledge our national honor to accomplish these high ideals and purposes with all our resources.

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

われらは、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う。


すべて英文を逐一解説していてはだれも読んでくれないでしょうから、赤字で示した部分だけを取り上げたいと思います。以下に示した(1)-(4)までの各節の最後尾がすべて..the peopleで締められているのに気づかれると思います。
(1) Government is a sacred trust of the people,
(2) the authority for which is derived from the people,
(3) the powers of which are exercised by the representatives of the people,
(4) and the benefits of which are enjoyed by the people.

なぜこのように英文を「設計」にしたのでしょうか?それはお互いに了解している既知の事実をなるべく前に、相手の知らない重点情報をなるべく後に置く、という英語の情報構造が機能しているからです。この「情報構造」について、佐藤ヒロシ氏の著書から引用します。
Nothing is more important than time.
(時間ほど貴重なものはない)

この構文が英語で多用されるのは、than以下を強調するためです。一番大事なものを文末に置くことで、最も大切なものが時間であると重点を置くことができます。これを、いくら「書き換えが可能」だからといって、Time is the most important of all.などど書き換えると、その味が薄れてしまいます。
『実は知らない英文法の真相75』プレイス

このことから、さきの赤字で示した憲法の英文では、「国民」を強調することで、「民主主義」の精神が表現されていると感じられます。日本文を一読しただけでは見えてこないような、憲法の精神が通じて見えてくる。これは英語だからこそ可能なことです。私自身、日本文の憲法を読んでいただけでは気づきませんでした。こういう発見があると英語を勉強してきた甲斐があったなあと思うのです。
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2007年04月28日

There is 構文

千葉大学言語教育センターの久保田正人教授が運営する「久保田研究室」のなかに「オンライン講義」というのがあります。このなかでThere is構文に関する話が非常に興味深かったので、それを書きます。

There is構文は「発言者には見えているが、相手からは見えない存在」を表現するときに用いるのだそうです。以下の(1)は私のような素人目には正しいように見えますが、相手には"a book"が見えているので、There is 構文は使えないわけです。よって(2)のように表現しなければならない。

(1)*As you can see, there is a book on the desk.
(2)As you can see, on the desk is a book.
(3)In my right is a pencil, and in my left hand there is an eraser.

There is 構文の性質から、(3)が表しているのは「右手に握った鉛筆は相手に見えているが、左手の消しゴムは相手から見えないように握っている」ことになる。これは知りませんでした。文法は実に奥が深い。そして実に面白い。こういった文法知識を深めたうえで、生徒への指導に当たっていきたいものです。
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